Library and Information Science

Library and Information Science ISSN: 2435-8495
三田図書館・情報学会 Mita Society for Library and Information Science
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Library and Information Science 17: 1-10 (1979)
doi:10.46895/lis.17.1

原著論文Original Article

アメリカ図書館界の潮流Current trends, tendencies in American librarianship

発行日:1980年3月25日Published: March 25, 1980
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Librarianship という語は非常に幅広く,包括的なことばであり,図書館自体のことから,図書館・情報学のすべてのアスペクトまで含むことになる。しかし,これらすべての面に適用できる語があるとすれば,それは“変化”ということである。図書館をめぐる社会的環境では,第一に図書館に対する税金の支援の減少傾向である。カリフォルニア州の悪名高き“Proposition 13”はそのはしりであり,全国的に広がりつつある。次に,かつては工場労働者のみに限られていた労働組合が図書館職をものみこむようになり,例えばサンフランシスコ公共図書館は苦情処理について,カナダのトロントではフレックスタイム制,米国議会図書館では人事管理に対するモニター権が確立された。新著作権法の施行(1978)によって,とくに大学図書館では,複写の問題に気をつかうようになり,著作権協会,出版協会等は強い監視の姿勢をとっている。

しかしながら,図書館・情報活動を支援する有力な2機関,全国図書館情報学委員会(NCLIS)および図書館振興財団(CLR)の活動は,より活発化し,前者は目下,懸案であった“図書館・情報サービス・ホワイトハウス会議”の実行直前まで推進してきた。このためにカーター政権は350万ドル(約8億5千万円)を予算化している。これは全国規模でのタウン・ミーティングともいえる性格をもち,図書館・情報学専門家は全数の1/3におさえ,むしろ,普通の利用者,潜在利用者を大きく動員するものである。

CLRは現在,ネットワーク開発に600万ドルの募金を用意している。かつてOCLCやBALLOTS(現称 RLIN)の離陸に貢献した如く,今回もその始動力が期待されている。このネットワーク化,換言すれば相互依存は,ホワイトハウス会議と呼応して,より大きな視点から考察されるであろう。その一例として提唱されるものは国立逐次刊行物センター(NPRS)の構想である。これによって,国全体としての収集と利用の効率化を期待するものである。

目録における“革命”は,いずれ伝統的なカード目録を歴史的なものとしてしまうであろうが,対応はまだ流動的である。たとえば,スタンフォード大学では,中央図書館の基本目録は変更しないというが,そのうち“close”されるかもしれない。そのマイヤー学部学生図書館は,既にカード目録をもたず,定期的に更新されるブック型目録を用いていたが,これはCOMマイクロフィッシュに変っている。貸出業務の自動化は,民間業者による開発が盛んであり,1978年以来の新しい傾向をなしている。ただし,契約に当っては,コンサルタントを利用し,また数多くの実施例を視察して評価しないと,失敗する例も少なくない。

図書館・情報学教育でも,往年の売り手市場が逆転し,しかも,オートメーションが、急激に進展したために,今後は,主題知識が強く,自動化図書館の管理と運用をこなせる少数精鋭の養成という方向が打出されている。この動向をつかみそこなった図書館学校もあり,また成功例としては,UCLAの2年制修士課程があり,デソバーやドレクセルはコミュニティー情報専門家養成を指向し,ピッツバーグには成人職業教育カウンセラー課程がある。UC バークレーは現職図書館員の継続教育を特色の一つとしている。さらに一学校は,図書館学領域から離れて情報学をキャリアとする教育方針さえとっている。これからの学生は“社会に対して敏感”,しかも,技術的ノウハウをより多くもつべきであろう。(Y.K.)

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