Library and Information Science

Library and Information Science ISSN: 2435-8495
三田図書館・情報学会 Mita Society for Library and Information Science
〒108‒8345 東京都港区三田2‒15‒45 慶應義塾大学文学部図書館・情報学専攻内 c/o Keio University, 2-15-45 Mita, Minato-ku, Tokyo 108-8345, Japan
https://mslis.jp/ E-mail:mita-slis@ml.keio.jp
Library and Information Science 28: 11-20 (1990)
doi:10.46895/lis.28.11

原著論文Original Article

図書館目録英国の現状と将来The library catalogue: Current state and future trends with special reference to the UK

発行日:1991年3月31日Published: March 31, 1991
PDF

近年の英国では,共同目録作業への参加や,各館での簡略な目録作成が可能になってきたという状況を前提として,目録作業が軽視される傾向が出てきている。目録作業の合理化それ自体は歓迎されるべきことであるが,現実には様々な閤題点がある。そこで,本論文では目録作業に関わる現在の状況を分析し,その認識に基づいて将来のOPACが目指すべき方向を探る。

英国の目録作業について考慮されるべき点は主に以下の三点にまとめられる。①図書館の総合的な機械化によって,図書館はより早い段階において書誌レコードを求めるようになってきており,そのためより多様な情報源から得る方向へ向かっている。②図書館にとって,出版流通における書誌データは,情報源としての重要性を増している。一方出版社,書店など出版流通に関わる側も効率的な書誌レコード作成について大きな関心を持っており,MARCの利用やAACR2の意義についても議論がなされている。③OPACおよび広域ネットワークの発展に伴い,書誌レコードについては書誌記述の必要性よりもむしろ解題や,主題情報を入れることにより大きな関心が向けられている。

一方OPACは利用者の間で好まれているが,英国のOPACへの取り組みは遅れをとっている。OPACが利用者に好まれる理由には,①特定の文献について利用できるかどうかの情報を得られる,②その多くは自然言語で探せる,③様々な場所でアクセスすることができる,という点が考えられる。しかし同時に問題点として,利用者がシステムを過信する傾向,および利用者にとってシステムが不透明なことが挙げられる。したがって,今後一層の研究開発が行われ,さらにその成果が実際のシステムに取り入れられることが期待される。

具体的には以下の二点を今後の課題として提案する。一点目は,「基本記入」を廃止し,統一タイトルの下に諸版を集めることによって,利用者が多すぎる検索結果に困るという問題を多少なりとも解決できるであろう。二点目は,データを理解しやすいものとすることである。データが理解しやすいかどうかは,①データの性質,②コマンドやプロンプトの明確性と一貫性,③表示の質,④余白のとり方やレイアウトが適切かどうかに依存しており,インターフェイスおよび,データの表現を改善することが OPAC の今後の課題として求められている。

This page was created on 2022-03-16T15:11:03.193+09:00
This page was last modified on


このサイトは(株)国際文献社によって運用されています。