Library and Information Science

Library and Information Science ISSN: 2435-8495
三田図書館・情報学会 Mita Society for Library and Information Science
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Library and Information Science 9: 277-286 (1971)
doi:10.46895/lis.9.277

原著論文Original Article

参考・書誌科目の教育その位置づけと試みTeaching reference and bibliography: Articulation and experimentation

発行日:1971年9月1日Published: September 1, 1971
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近年,参考・書誌教育の方法について多くの研究成果が発表されるようになったが,とくにレファレンス・プロセスが強調されている。この論文の前半で参考・書誌の初級科目は他の初級科目と密接不可分な関係にあることを明らかにし,後半で社会科学資料科目において試みた教授法を紹介している。

資料の形態的記述の研究をする記述的書誌学への導入は目録関係の科目において行なうのが最も適当である。また,資料の知的内容に関する体系的書誌学を教え,分類法,件名付与の問題を理解させなければならない。さらに,簡潔明瞭な記述的注解を書くことは資料選択の科目において教えるのがよい。つまり,参考・書誌,目録法,資料選択論の各担当者が緊密に協力することによって,学生に書誌,目録,索引などをよく理解させることができる。

参考・書誌の科目では,まずレファレンス・プロセスの性格を簡単に紹介したのち,書誌類の解説からはじめた方がよい。この順序をふむことによって,学生にまず主題文献案内を理解させることができる。図書館・情報学の主題を選ぶならば,書誌,索引などをはじめとし,統計,法規関係資料から専門雑誌までをとりあげ,注解付書誌にして学生に配布する。これはすべての初級科目で使用される必携書となるばかりでなく,主題文献案内のパターンを学生に理解させるのにも役立つ。

書誌類の単元に次いで,人名関係資料に進んだ方がよい。これらは目録法において著者名を確認したり,資料選択論において著者の情報を求めるときに役立つからである。

以上のように,各科目の間の密接な関連を考慮するならば,相互に情報交換ができるし,学生の間に生じがちなフラストレーションを緩和することができるので,教員としても努力のしがいがある。

次に,社会科学資料の教育における最近の試みを紹介する。これを“Each One Take One”とよぶ。この方法は学期の最初に各履修学生に社会科学関係の研究をしている大学院生を一人ずつ探させ,その要求に応じてどのような援助ができるかを検討させることから着手する。このプロジェクトは共同研究ではなく,一連の事例研究である。

各学生がどのような院生を選ぶかは自由であるが,それぞれ面接して,①学歴,②これまで図書館利用教育を受けた程度,③図書館利用の困難さ,④必要とする資料を求める手段,⑤関心をもつ主題領域について尋ねさせる。その結果を基礎にしてクラスで報告し,必要なサービスの種類をチェックリストにまとめる。このうちには,閲覧目録の利用指導,分類体系や件名標目の説明,視聴覚機材の利用指導,コレクションの所在案内などを含むオリエンテーション関係の援助,特定の資料の利用指導,主題文献リストの作成などを含む書誌的援助などからなる。これらの各サービス項目について,どの程度援助できたかを記録するために,4段階の評点を与えさせたが,最も多く行なわれた援助は索引や抄録の利用指導であった。

学期の終り頃,学生は自己評価にもとづいて討議し,①院生との接触を保つ場合に生ずる困難性,②提供できるサービスの種類,③そのサービスに対する反応,④このプロジェクトから学んだこと,⑤誤りをした事柄の五つの点にわたってレポートを書くことになる。

こうしたプロジェクトによって一つの結論が導びかれるわけではないが,この試みを実施することによって,どのような問題が生じたかを明らかにすることができる。

(M. N.)

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