Library and Information Science

Library and Information Science ISSN: 2435-8495
三田図書館・情報学会 Mita Society for Library and Information Science
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Library and Information Science 9: 337-342 (1971)
doi:10.46895/lis.9.337

原著論文Original Article

米国の収書・目録国家計画70年代初期の展望The national program for acquisitions and cataloguing in the U.S.A.: Its prosepects in the early 70's

発行日:1971年9月1日Published: September 1, 1971
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大学・研究図書館は受入図書―特に外国出版物および外国語出版物―の50%以上に対して自館で目録をとることを余儀なくされていた。多くの図書館が同じ図書の目録をとるという無駄な重複が繰り返され,受入図書の急増に伴なって目録作業の遅れがはなはだしくなり始めた。このような状況の中で制定された1965年の高等教育法,特にその「大学・研究図書館資源の強化」に関する条項は関係者を勇気づけた。同法の施行により,議会図書館は,世界中で出版される学術図書を網羅的に改集し,それらの図書に関する書誌的情報を迅速に提供するために必要な予算を配分されることになった。この計画はNPACと名付けられた。初年度の1966年には40万ドル,67年には300万ドル,68年には500万ドル,69年には550万ドルの予算が割り当てられた。ジョンソン政権下での70年度予算額は735万6千ドルであったが,ニクソン政権はそれを450万ドルに削減した。

世界中の学術出版物を洩れなくカバーするために,ロンドン,ウィースバーデン,オスロー,ハーグ,パリー,ベルグラード,フローレンス,東京,ウィーンの9都市に目録分担地域センターが開設され,さらに,ナイロビ,リオデジャネイロ,ジャカルタに地域収書オフィスが置かれた。

1969年は9か国の目録分担センターが受け入れた目録情報は222,365エントリー,作成した予備カードは4,793,668枚に及んでいる。東京のセンターは国会図書館から25,426エントリーの目録情報の提供を受け,12,000タイトルの図書を議会図書館に送っている。

NPACのお陰で,アメリカの協力館(89館)が受け入れる図書の70~80%が,議会図書館の提供する目録情報によってカバーされるようになった。この顕著な進歩に感謝しながらも,関係者は現政権による予算削減に神経をとがらせている。

NPACは高等教育法が図書館に与える援助の一つにすぎない。同法は大学・研究図書館の図書購入を直接援助し,図書館員養成のために奨学金を設け,図書館学研究に対しても助成金を支出している。しかしながら,現実に割り当てられる予算額が法でオーソライズされた金額に到達したことは一度もない。しかも,会計年度の初期に予算が配分されない傾向が続いている。

大統領の72年度予算勧告によれば,大学図書館の図書購入助成金は1,500万ドルから500万ドルへ,図書館員の養成援助は390万ドルから200万ドルへ削減された。NPACは幸いにも661万ドルから685万ドルへと僅かながら増加した。恐らくNPACが大学・研究図書館に与えている恩恵の重要性が現政権にも認識されたからであろう。

議会図書館が目録情報提供の機械化を計画し,MARC Iの名で実験を行ない,その発展としてMARC IIを実施しているが,この国際的規模をもつ機械化シネテムを発展させるためには,議会図書館に対して十分な資金が与えられる必要があろう。

高等教育の前進のために,大学・研究図書館に対して与えられた連邦政府の援助は感謝に値するが,現在程度の予算配分では,高等教育法の「大学・研究図書館資源の強化」が実現するとは思われない。議会と木統領に対して事の重要性を明らかにするために,関係者は旧に倍する努力を払わねばなるまい。

(I. A.)

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