米国における図書館学研究センター発展の歴史的背景や,親機関との関係,行なっている調査のタイプ,管理・運営上の問題点についてイリノイ大学の図書館学研究センターを例に取上げ述べている。
図書館学研究センターは,日本にはまだ存在しないが,米国においては既に幾つか存在し,それぞれ活発な活動をしている。元来は,米国の図書学界においても伝統的に弱かった研究活動を補うものとして設立され,初期には主として公共図書館についての応用研究を行なっていたが,現在は,学校図書館,学術図書館,図書館システム,その他の情報科学の分野の応用研究を行なっている。
母体は大学の図書館学校であるが,センターの所長が図書館学校の教員であることと,業務遂行上図書館学校や大学内のいろいろな部局や機関のスタッフの助言・助力を得られる以外は,運営資金,スタッフ,スペース,設備はすべて独力で確保しなければならない。
受託金を得て調査研究を行なうためには,センターに調査研究を依頼してきそうな図書館や各種団体と,センターが調査研究を依頼できる図書館や団体を知り,常にセンターの存在や仕事の内容を知らせる努力をしなければならない。
スタッフとスペースは業務量に応じて増減できなければならない。受託金とこれらの要素のバランスをとることは,センターの所長にとって最大の問題である。
センターの仕事の副産物として,図書館員の教育や調査職員への訓練の利益が考えられる。センターのスタッフは,毎年,図書館学校や大学院の学生の教育・訓練に携わっている。
センターはこのように大学や図書館学校と相互に寄与し合っており,これからも存在し,発展していくであろう。
(S. K.)
© 1974 三田図書館・情報学会© 1974 Mita Society for Library and Information Science
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