私の報告に対する鈴木平八郎氏の批判は,国立国会図書館について私が得た情報が妥当ではないということである。私は自分の集めた事実は妥当で正確だと信じているが,一歩譲ってその解釈の仕方が特異だったとしてもよい。それはそれとして,例えば,IFLAで意見の一致を見た,ナショナル・ライブラリーの各種の機能を,国立国会図書館が遂行し得ないなどという気は毛頭なかった。参考のために,1965年のIFLAの会合で論謙の上承認されたナショナル・ライブラリーの機能についての勧告を挙げておく。
私のポイントは,何に重点をおくべきかということであった。国立国会図書館のサービスは,記述の順序に従って優先順位が与えられている,というのが私の印象である。国会図書館である以上,国会に対するサービスに優先権が与えられてしかるべきである。しかし,ナショナル・ライブラリーとしての国会図書館に多くのサービスを委ねている図書館人がその施策決定に参加しなければ,ナショナル・ライブラリーとしての機能が満足に遂行されないとするのなら,この図書館の二重任務は満足なものとはいえない。私は国立国会図書館およびそのサービスを全国的な図書館システムの中にもっと密接に関係づけようと努力したつもりである。
私の提案は,この国のあらゆる図書館サービスを発展させるために,財政および施策の決定に責任を持つなんらかの機構が必要であるということであった。国立国会図書館はこの機構組織の中において,大学,公共,その他の図書館と同等の席につく。私は,文部省が国立国会図書館も含めてあらゆる種類の図書館について,総合的な観点をもつことができるのではないかと考えた。
(T. S.)
© 1974 三田図書館・情報学会© 1974 Mita Society for Library and Information Science
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