Library and Information Science

Library and Information Science ISSN: 2435-8495
三田図書館・情報学会 Mita Society for Library and Information Science
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Library and Information Science 12: 37-42 (1974)
doi:10.46895/lis.12.37

原著論文Original Article

イギリスにおける図書館員教育の変貌The changing style of British librarianship

発行日:1974年10月31日Published: October 31, 1974
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この論文は,1974年5月,東京において,IFLAの理事会が開かれた際来日した著者が,日本図書館協会の教育部会のメンバーを,対象に行った談話の録音をもとに起稿したものである。そして著者の好意により,補筆訂正したものである。

この論文において,著者は,冒頭に,専門レベルの図書館員教育における基準,カリキュラムの構成,教員および学生の相互交換など,国際レベルにおける共通問題の解決のためにIFLAの教育者部会の存在意義を説き,日本の関係者の積極的な協力を招請している。

本題の「イギリスにおける図書館員教育の変貌」については,1973年より1974年にかけて1年間,School of Library, Archive, and Information Studies of University College, Londonに名誉研究員として滞在した観察を要約したものである。

まず著者は,伝統を重んずる英国において,図書館学教育については精力的な改革が行なわれていることに強い印象を受け,その改革の様相が数年前のU.S.A.の改革の様相のアナロジーと見ている。

第2に今や図書館を中心とする情報活動は地域別,国別に孤立したものでは存在の意義が極めて弱く,統合化,国際協力こそ必須の動向と捉え,イギリスの図書館改革が,他国以上にこの方向に積極的であると観察している。その証左として,アメリカにおいては,U.S. National Commission for Libraries and Information Scienceが,国家規模の総合化の母体となって機能しはじめたように,イギリスにおいては,The British Libraryが,アメリカの例以上に強力な母体として組織されたことをあげている。即ち,British Museum Libraryが,新しいBritish LibraryのReference Divisionとなり,これに見合うLending DivisionとしてNational Central Library of LondonとNational Lending Library for Science and Technologyを合併し,また近い将来におけるBritish Museum Libraryの整理部とBritish National Bibliographyの統合が計画されている。

また公共図書館設置母体である地方自治体が,1974年4月1日の法令により350から46に統合されたことにより,公共図書館サービスの強力化が促進されている改革についてもふれている。

そして,このような急速な改革と表裏一体をなして,図書館員教育の内容改善と充実が精力的に行なわれている,とのべている。実務を重視した図書館職員の養成から,大学レベル(修士,博士課程を含む)のプロフェッショナル教育への転換が行なわれ,専門教育および資格認、定の権限も1980年までには,図書館協会の伝統的資格認定試験の解消と共に大学に移譲されることになる動向について,ふれている。

結論として,広い国際的感覚と,高度の専門教育そして国際協力が,今後の図書館員教育のレベル向上に資するものと結んでいる。

(S. W.)

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