インデクシング言語の二大潮流の一つである用語システムでは当初階層構造は不要と考えたが,現在の標準的シソーラスでは用語相互間に階層を備えることが普通となってきた。シソーラスが用語カテゴリーと階層構造を持つ場合には,これを分類表の形に書換えることは容易である(表1,2)。
分類法では階層構造がその記号の中に表示されているが,シソーラスではそれは拒否されている。一方シソーラスでの階層性は一般に部分的断片的である。また分類法でもファセット式となれば,一体系の中に独立した何箇かの階層構造が併平することとなり,また複数箇の分類記号(標数)の併置(co-ordination)で複雑な概念を示すこととなる。この併置は従来用語システムの専売と誤解されているが,分類法でもそれがファセット方式であるなら,用語の場合と同じく併置を利用することとなる。分類表を見る手間はシソーラスを見る手間と同じ程度である。
残る問題はファイル作成時のインデクシングと,検索式の不一致だが,これは原則的になくならないものであり,ここに生ずるギャップを克服するため,上位検索の利用が必要となり,これは併置法と階層構造を持つ表記法とを共に用いることにより有利な解決ができる。
Ⅱにおいては,このような要求に会う分類表を構成するに当って,従来比較的無視されてきた概念出発点方式を用語出発点方式に切り換えるため,表現様式に必要な変更を加えることにつき実例を示して考察し,これができ上れば分類法における用語索引の作成が極めて楽になることを示した。
Ⅲにおいては上記のことを実現するに必要な,分類法記述の用語とその表現に与えるべき約束ごと(これをTOCS原則と呼ぶ)を確立する方法を論じ,これをUDCに適用することには困難があるが,ある程度実施してUDC日本語中間版の分類表および索引のコンピュータ作成を容易にすることを狙っている。新しく作成する分類法の場合ならTOCS原則の適用は容易で,既に完成した二つの例(CSTおよびCAST)を述べている。
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