公共図書館評価におけるアウトカム指標―行政評価の事例調査に基づく提案
1 横浜市中央図書館 ◇ 〒220-0032 神奈川県横浜市西区老松町1番地
2 慶應義塾大学大学院文学研究科図書館・情報学専攻後期博士課程 ◇ 〒108-8345 東京都港区三田二丁目15番45号
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2 慶應義塾大学大学院文学研究科図書館・情報学専攻後期博士課程 ◇ 〒108-8345 東京都港区三田二丁目15番45号
【目的】本研究の目的は,行政評価による公共図書館評価におけるアウトカム指標の実態を調査し,既往研究において公共図書館評価のアウトカム指標として提示されている指標との比較を行うことにより,アウトカム指標としての問題点を指摘するとともに,適切なアウトカム指標の提案を試みることである。
【方法】研究方法としては,自治体が公表している行政評価の実態調査とその分析により行った。具体的には,各自治体のホームページ等で公開されている行政評価の評価票からアウトカム指標を採取し,4種の類型に分類したうえで分析を行った。
【結果】調査の結果,各自治体がアウトカム指標として採用している指標としては,貸出冊数など本来アウトプット指標として考えられる指標が多数を占め,既往研究において図書館評価のアウトカム指標として提示されている指標の採用例は少ないことが判明した。アウトカム指標を想定しつつ,その測定が困難なため,アウトプット指標により代替させたと認められる事例もあるが,アウトプット指標を成果そのものと認識していると判断できる事例も多く,図書館サービスの成果に関する自治体関係者の認識に課題があるものと推察される。公共図書館評価におけるアウトカム指標として,適切かつ測定が容易で,各自治体で活用が可能な指標として,経済的価値,利用者にとっての効用,地域社会への貢献という3つの視点から提案を試みた。これらの指標が実際に活用されるためには,関連機関との連携の強化や国などによる環境整備が求められる。
© 2008 三田図書館・情報学会
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