Library and Information Science

Library and Information Science ISSN: 2435-8495
三田図書館・情報学会
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Library and Information Science 68: 1-22 (2012)
doi:10.46895/lis.68.1

原著論文

日本において電子書籍はどのように論じられてきたか雑誌記事と新聞記事の内容分析による論点の整理

1慶應義塾大学大学院文学研究科 ◇ 〒108-8345 東京都港区三田二丁目15番45号

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3慶應義塾大学文学部 ◇ 〒108-8345 東京都港区三田二丁目15番45号

受付日:2012年3月31日
受理日:2012年7月7日
発行日:2012年12月20日
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【目的】本研究の目的は,電子書籍に対する人々の意見がどのように変わってきたのかを内容分析と談話分析に基づいて明らかにすることである。

【方法】内容分析は,日本語の新聞記事と雑誌記事を対象として,電子書籍に関する論点を明らかにするために行った。同様に談話分析は,電子書籍の利点と問題点についての議論を明らかにするために行った。新聞記事は,1980年1月1日から2011年8月12日までの朝日新聞,読売新聞,毎日新聞,日本経済新聞の全国紙4紙を対象に,各社の新聞記事データベースを用いて,電子書籍に関して検索し,得られた4,438件とした。これらを年代別に分け,全体に占める割合に応じて無作為に400件を標本として抽出した。雑誌記事は,国立国会図書館の『雑誌記事索引』を用いて,新聞記事と同様の検索語を用いて得られた1,108件(異なりタイトル286件)から,電子書籍に関する記事を最も多く収録していた上位4タイトルの『印刷雑誌』,『出版ニュース』,『本とコンピュータ』,『週刊ダイヤモンド』に含まれる236記事を分析対象とした。分析は段落単位で行い,最終的に新聞記事(400件)と雑誌記事(236件)を合わせた9,074段落が分析対象となった。

【結果】日本における電子書籍に関する論点は,1)その異なり数が12から19に増加し,2)「課題」,「コンテンツ」,「電子書籍端末」,「出版」,「市場」が多く論じられた。また,3)電子書籍端末とメディアでは,CD-ROMが長期間にわたり論じられていたが,2009年以降は論じられなくなり,代わってタブレット型情報端末が数多く言及されていた。4)電子書籍を論じてきた著者は雑誌記者と新聞記者が多く,ステークホルダーとしては,出版社とメーカーについて数多く論じられていた。

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