大学生のレポート課題解決における知識と実践の関係
一橋大学附属図書館 ◇ 〒186-8602 東京都国立市中2-1
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【目的】本研究では,大学生がレポート課題に取り組む際の,テーマ設定,情報探索,執筆の全段階を,共通の枠組みで分析する。課題を遂行する行動を分析の基本枠組みとし,それらの行動を可能とするものとして文脈を想定する。文脈を獲得するために必要な知識があると仮定し,行動,文脈,知識という枠組みから分析する。共通の枠組みでレポート課題解決プロセスの全体を捉え直すことで,大学生がどのように行動し,そこではどのような文脈が獲得され,どのような知識が必要とされているかを明らかにする。
【方法】筆者の勤務先である一橋大学の学部生・大学院生を対象に,学部1~2年生の時に取り組んだレポート課題についてインタビュー調査を行い,24名27件の有効回答を得た。レポート課題の種類を①文献講読型,②論証型,③仮説検証型に類型化し,類型ごとに成功と失敗の基準を定めた。成功例と失敗例に見られたパターンを抽出し,何が成否の分岐点となったのか,行動と文脈と知識の影響関係を分析した。
【結果】レポート課題解決の成否に最も影響するのは,課題の全体を把握する文脈であるBig picture context獲得の有無であることが明らかとなった。Big picture contextの獲得に貢献するのは,「レポートとは何か」の知識や,「その課題で何が求められているか」の理解であった。論理的な思考能力や,得た情報を論理的に構成して書く技能も,レポートの成否に大きな影響を与えていた。これらの知識や技能をレポート課題で実践するためには,学生自身の理解と経験が必要であり,レポート課題解決プロセスの全体像を意識して,学生がつまずきがちな点に留意しながら知識の伝達を行う重要性が示唆された。
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