図書館の目的は,その図書館の利用者の要求を満たすためにサービスを行なうことであり,そのためには,利用者の要求を子細に知っている必要がある。
図書館調査の主要な目的は,その図書館が設立の目的をいかによく具現しているかを見出すことと,無駄を省いて効果的に業務を行なっているかどうかを見るためである。
図書館の自己調査は,その館員によって行なわれる調査で,かなり長期間にわたる場合と比較的短期間に完了する場合がある。
図書館調査報告は3つの主要な部分から成り立っている:1)その図書館の目的,機能,方針,人事組織・業務規定・蔵書・施設設備,およびサービスについての基本的な現状調査,2)その図書館の潜在利用者をもふくめた利用者のコミュニティ,実際の利用者とその利用状況に関する徹底的な調査,3)は1)と2)の調査によって集められたデータの客観的な分析,および必要に応じ図書館の方針,業務規定,蔵書,施設設備,サービス,人事などについて改善策の策定。
本文では図書館調査実施上のチェックリストを用意して,各項目ごとに必要に応じて解説を加えているが,基本調査と利用者の要求調査によって得られたデータごとに分析検討するほか,図書館の蔵書とその利用状況との関係,利用者の関心・要求と図書館資料の利用状況との関係,図書館資料と利用者の関心・要求との関係を比較検討し,蔵書および利用者とその利用に関しての主要カテゴリーの決定に関して吟味しなければならないとし,さらに調査結果が望んでいたようなものであったかどうかを考察し,改善方策検討の必要を論じている。
このような総合的な図書館調査は,軽々に行なわれるべきものではなく,またそう何度も行なわれるものではない。しかし,一旦調査が行なわれれば,その図書館の発展計画実施上の基礎として役立つであろう。部分的な調査なら,ある期間をおいて実施することにより,その図書館が利用者の要求にできる限り効果的に応えているかどうかを確認することができる。
(Y. A.)
© 1971 三田図書館・情報学会© 1971 Mita Society for Library and Information Science
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