コミュニケーション機器の急速な技術的開発は,学校教育の分野にも大きな影響を及ぼし,伝統的な教育技術の根幹であった教科書による教授,固定的段階的な教育課程,学級,学年,時間割などの制度に大きな転換を迫ろうとしている。その最も顕著な傾向が,教室における集団学習のパターンに代り,Team Teachingや個別学習が,大幅に採用されつつあることである。これに呼応し,更にメディアの多様化の趨勢により,従来の図書中心の学校図書館は,教材資料センター,あるいはメディア・センターと改称され,機能面及び資料面において急速な変革を示しつつある。
著者は,まずこの変革の大要を,新しい教育理論の紹介を導入として,新しい教師像,小・中・高の各レベルにおける個別学習の発展,学習計画と個別学習等の諸側面にふれて紹介している。そして,そのような変革が,学校図書館のメディア・プログラムに及ぼす影響を分析し,関係者の意識の変革,学校図書館員と教師との共同計画,職員の補強,サービスの範囲拡大と強化,個別学習に即応する図書館資料の強化,資料組織の新実験的方法,新しいメディアの利用に必須の機器,メディア・センターの設計等多面にわたる問題を網羅的にとりあげ,代表的理論,実例に触れながら総括を試みている。
結論的には1968年改訂の新学校図書館基準の理念が,現実にどのように実行されているかの報告といえよう。
(S. W.)
© 1971 三田図書館・情報学会© 1971 Mita Society for Library and Information Science
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