英米目録規則の第3条,著者の責任が分担されている著作と,第4条,編者の指揮のもとに製作された著作に関する規則は最もひんぱんに使われる規則である。それは近年多数著者によって書かれた本や,会議やシンポジウムの論文等が著しく多くなったためである。これらの本は書誌的記述が複雑でむずかしく,規則の方もあいまいなので,目録上の問題が起りやすい。規則は,主記入は著作に対する主たる責任をもつ者の下に記入せよというが,標題紙からはそれがどの人なのかわからない場合が多い。また編者(editor)という言葉が不正確に使われているために混乱することもある。著者の責任が分担されている場合,主たる著者が示されていればその者のもとに記入するが,主たる著者が示されていない場合,著者3人以内なら最初の著者をとり,3人以上で編者の名が標題紙に明瞭に記載されていれば編者,そうでなければ書名でとると規則は定めている。これらの規則を米国議会図書館ではどのように解釈しているかを知るために,多数著者による同じような条件の本6冊をとりあげ,それらに対するLCの目録カードを比較検討した。あるものは編者,あるものは書名,あるものは団体著者から記入してあって,規則の運用を明確にする助けとはなっていない。ここには6例をあげたにすぎないが,似たような例はたくさんあり,それらに対するLCの目録のとり方の例を見ても規則の適用法をはっきりさせることはできず,むしろこの第3条,4条は英米目録規則の中でも,もっとも混乱をひきおこす不備な部分であることを強調する結果となっている。
(I. H.)
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