本文は科学技術の分野における情報サービスのあり方について展望を試みたものである。まず情報の特性,膨大な情報量について述べ,従って科学技術者達は他からの援助なしにはこれらの情報を吸収することが不可能になってきたことを述べた後,各種の情報サービスの形態を記述している。情報サービスを行なうに当って必要な出版物情報センター,視聴覚資料センター,ドキュメンテーションセンター,コンピュータの利用,経費について略述し,また科学技術者の各種の情報要求について解説している。情報サービスの発展については,一つの機関において簡単な情報サービスを行なうものから,大規模な機関で複雑な情報サービスを行なうもの,さらには米国国立図書館を核とする地域的ないしは国際的情報システムについて論じ,かかる国際的情報システムの一例として東アフリカ農林研究機構の行なっている東アフリカ文献サービスについてやや詳細に解説している。新らたに情報サービスを発足させるためにいかなる手順を踏むべきかを論じ,また十分予算措置等も調和のとれたものでなければならないことを指摘している。
科学技術者にとって実験室や実験装置が欠くべからざるものであることはよく認識されているが,これと同様に,十分な情報サービスも科学技術者にとって欠くべからざるものであることを主張している。
(T. S.)
© 1971 三田図書館・情報学会© 1971 Mita Society for Library and Information Science
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