UNESCOとICSUは1967年,科学情報の世界システムの実現性を調査する合同委員会を設置した(UNISIST)が,ここでも当初においては科学情報が強調される余り,図書館への関心はほとんど示されなかった。このような図書館無視のパターンはこれまでにたびたびくり返えされてきた。
図書館学の国際的性格を部外者が知らないことは,我々図書館人自身の認識不足も原因の一つとなっている。図書館サービスは本質的に国際的なものである。その扱うのは知識または情報であり,国境があるわけではない。そのための努力として,たとえば国際交換があり,また国際貸借も行なわれている。しかし我々は極めて限られた統計しかもたず,将来の改善に必要な詳細データは全く欠けているような状態である。MARC IIに伴う目録事業の国家間分担体制は,資料の交換,貸借より以上の高度の協力としてフォーマルに推進すべきであろう。
一方,図書館の外からの圧力としては多領域研究の高まりがあり,図書館人はその焦点となるべきものである。このことは公害のようにほとんどすべての領域にかかわりをもつアプローチを必要とする場合に典型的に現われてきている。一さらに情報の生産国,生産言語の増加,多様化も別のアスペクトとして加わってくる。この動向は個別的あるいは国内的に解決しようとしても不十分であることはいうまでもない。
図書館学においては最近,比較図書館学として顕在化した国際性への関心が強まり,この方面において慶応義塾大学の豊富な経験に期待するところが大きい。また国際団体としてIFLAも上記の状勢に応えるために変革しつつあり,とくにアジアからのより活発な参画が望まれている。
(Y. K.)
© 1971 三田図書館・情報学会© 1971 Mita Society for Library and Information Science
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