米国の大学院図書館学研究科で学んだ日本の図書館人のうち36人について,彼らが米国でうけた教育について,また彼らがそれを日本での仕事にどのように応用しているかについて,面接調査した結果をまとめたものである。
面接した36人について,その経歴,留学先大学院,留学補助金,語学訓練,留学生活一般,オリエンテーション,米国での図書館学の教員,教授法,授業内容および有用性,留学の効果,図書館専門職意識,日本の図書館学の将来予測,自己の将来などについて質問しその結果を分析している。
統計的データの示すところでは,彼らの大部分は現在東京に就職しており,その平均年令は40才,現在図書館学の教員であるか大学の図書館に勤めているものが大部分であった。国際的な図書館学教育という面で慶應義塾大学が重要な役割を果してきたことは,米国で図書館学教育を受けた人びとの中にに慶應の図書館学科卒業生が多いこと,現在慶應義塾大学に勤務しているものが多いことからもうかがえる。
米国の大学院図書館学研究科に留学したこれらの人びとは,現在日本の図書館界において重要な位置を占め,図書館関係の専門団体でも活躍している。彼らは,米国で図書館学教育を受けたことは非常に価値があったと評価しているが,反面,米国の大学院図書館学研究科が英語力テスト,英語教育,あるいは外人に対するオリエンテーション等を余りうまくやっていないと考えている。米国側としては,これらの面での改善も必要であろう。
(T. S.)
© 1971 三田図書館・情報学会© 1971 Mita Society for Library and Information Science
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