Library and Information Science

Library and Information Science ISSN: 2435-8495
三田図書館・情報学会 Mita Society for Library and Information Science
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Library Science 3: 1-7 (1965)
doi:10.46895/ls.3.1

原著論文Original Article

加州大学図書館の発展と機械化Development and mechanization of libraries of the University of California

発行日:1965年7月1日Published: July 1, 1965
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カリフォルニア州立大学はアメリカ合衆国において最大の規模を有し,1964年秋における学生数は約7万,1970年には約10万に達する。キャンパスは加州全体にわたり9ヶ所に在り,その蔵書数の合計は700万冊に及ぶ。このような大規模の図書館組織における利用および蔵書構成ならびに事務処理を統制する上で,大学図書館評議会の果す役割は極めて大きい。

この評議会は,各キャンパスの図書館長,バークレー及びロスアンジェルスの図書館学校長,および州全般の学事を管掌する大学研究調査部長から構成され,図書館の開発計画を作成した。その内容の要点は,1)大学図書館群は学術コレクションの共同プールと見なされ,2)共同計画を実行に移すことにより増大する利用者へのサービスを確保すると共に,資料購入費の増加をはかり,3)資料の不必要な重複を避けることにある。

評議会はこの他にも,各種の共同作業計画を立てたが,その中の重要なものの一つに,二大保存図書館設立の計画がある。北部に散在するキャンパスに対してはリッチモンドに古くからある図書館を改装して利用し,南部に関してはUCLAのキャンパスに新らしく建造の予定である。また,キャンパス間における図書館相互貸借システムの発展も意図され,通信運輸手段の改善だけでなく,相互貸借用図書収集および写真複製機器の設備のための予算獲得も試みられた。

キャンパス間の蔵書利用促進のためには,1962年および1963年にUCLA図書館の辞書体目録ならびにバークレー図書館の著者名目録を冊子体に編成して刊行配布したが,1967年刊行予定の補遺第1号は,1962年から1967年までの全大学図書館の全増加図書を包含することになっている。別に,南部三キャンパスのそれぞれに合計7.5万冊に達する学部学生用図書を収集することも,計画の一端として実施に移された。その他建築基準の設置,図書館の地位および給与改善に関する常設委員会も評議会内に設けられ,活躍している。

しかし,評議会の最大の成果であり,影響力が甚大であると考えられるものは,1961年に提案され2年後に成立した図書館研究所の設置であろう。この研究所はその支所をバークレーとロスアンジェルスの図書館学校にそれぞれ設置しているが,その活動にはすべての図書館が参画する。諮問機関としては,大学総長に任命された教授よりなる委員会および図書館評議会がある。

研究所の目的は,図書館および情報処理に関する問題の解明,両者に関するシステムの改善ならびに図書館学教育の高度化にある。その長期計画の中には,大学図書館の使命,研究方法および研究者の要求の変遷,記録情報の発展と複雑性,多図書館間組織,情報源および情報システムの進化などに関する研究が含まれている。この他,図書館資料およびサービスの価値の経済的分析法,ファイルの効率測定,などの基本的問題および機械語に書誌的データを変換する方法などの調査も計画され,中央のセンターと地方のそれで行われるべき索引深度の決定ならびに作成された索引の集中・交換利用に関わる研究も意図されている。

別に,大学図書館に直接的価値を持つ特定の研究も行われるが,その中には,図書館におけるコスト測定法,配本技術―特にキャンパス間に於て電子工学等を利用した印刷資料の内容の送達―,現存の機械化組織の図書館業務に対する応用,冊子体目録の作成と累積などが数えられるが,これらの諸問題の解決に当り,近い将来研究所に実行班が設けられることが希まれている。

図書館業務の機械化の実際は,冊子体目録作成の他,貸出業務,逐次刊行物に関する記録に見られるが,近い将来に於て,国立医学図書館のメドラー・システムとの連携作業が行われることになっている。

貸出業務の機械化はパンチカードを利用して行われ,ソーターを用いて毎日期限超過の貸出カードを探し出すと共に,当日の貸出冊数を計算する。この方法はデーヴィス・キャンパスで行われているが,ロスアンジェルスのキャンパスでは,IBMのトランザクション・カード・システムを利用し,さらに詳細なデータが得られるようになっている。

逐次刊行物の記録作成に関しては,パンチカードと磁気テープが併用される。逐刊物の受入れに関しては,毎月受入れ予定のファイルがパンチカードから作られ,刊行物を毎日受け入れるごとにチェックし,それから受入れ日報を作成し,後にまとめて月報の形にする。その他このシステムを利用し,所蔵逐刊物リスト,受入れリスト,合本リスト,欠号リスト,クレイム・リストなどが作成される。

メドラー・システムには,ロスアンジェルスの生物学・医学図書館が参加し,同システムに蓄積された情報を上記キャンパスの機械で利用しうるように変換送付している。

この他,既に発注業務にも機械が利用されているが,相互に関連しうる機械化システムを開発することにより,全大学の図書館がより緊密に協調することが期待されている。

(M. F.)

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