IV. 公共図書館における高齢者サービスの5つの時期とその特徴
文献内容並びに特集の組まれた時期を総合的に考慮すると,対象文献を第3図に示した5つの期間に分けることができる。本章では,各期間における「公共図書館における高齢者サービス」に関する文献の特徴を基礎としたうえで,Ⅱ章で明らかとなった高齢者を取り巻く社会的動向を踏まえながら,日本の公共図書館における高齢者サービスの変遷について分析していく。
A. 第I期:高齢者に対する意識の萌芽(1970年代~1980年代半ば)
2章のAで述べたように,日本では世界に先駆け1963年に高齢者を対象とする単独の法律として「老人福祉法」が公布された後,高齢者が豊かな生活を享受しうる条件が急速に整備されはじめた。一方,加速した高齢者福祉の整備が,「弱者」への援助を行う手段にもなり,高齢者のイメージを福祉に頼る「弱い」者へと移行させた。特に人口高齢化が始まった1970年以後,こうした傾向がますます強まった。
このような高齢化がもたらした二面性が進行する中,公共図書館では,政策レベルでの変革には及んでいないものの,1972年の『文芸春秋』に「図書館の『恍惚の人』たち」55)という記事も刊行され,高齢者という利用者層が言及されるようになってきていた。この記事は,当時の横浜市立図書館の司書が自館に集まる高齢者の図書館利用像を描いたものである。記事のテーマは,認知症を扱った文学作品である『恍惚の人』を借りてはいるが,内容は認知症高齢者に関するものではなく,読書が生きがいである高齢者に,地域の公共図書館が利用されているという事例を示している。
図書館関係の雑誌では,若干遅れたものの,1975年の『図書館学』に掲載された「身障者に対する読書サービス:主として視覚障害者および寝たきり老人〈シンポジウム〉」56)特集が最初である。特集に収録された5件は,事例報告3件と論考・解説2件が含まれており,それぞれ図書館代表57),利用者代表58),社会福祉施設代表59),ボランティア代表60)によるものである。当時,視覚障害者読書権保障協議会による読書権運動から影響を受け,公共図書館では視覚障害者への注目が高まった時期でもあり61),特集のタイトルからも分かるように,点字・録音資料の整備や目次の提供など,視力障害者への対応と共に,身体の不自由な高齢者に対する「読書」サービスをめぐる問題点が議論されている。この一連の記事から,既存の障害者サービスを見直すなどして,そこから高齢者対策を考え始めるという傾向が明確に窺える。
その後,1979年62)と1983年63, 64)に3件の記事が出された。いずれも今後の高齢者サービスに対する提案を述べている。主な内容は,来館できない高齢者のための館外サービスや,老眼等の視力障害に対応した大活字本の整備などである。
このように,第I期は文献数が少ない。図書館関係者あるいは高齢利用者による個人的な提案と,視覚障害者の読書支援のついでに行われた高齢者(特に寝たきり老人)の支援事例の報告がほとんどであり,実証的な調査・研究は見当たらない。公共図書館が「身体が弱っている」利用者としての高齢者を意識し始め,彼らを既存の障害者サービスの延長線に位置付けながら今後の対策を講じようとしていることが見てとれる。このように高齢者がどのような人々で,どのような課題があるのかが組織的に把握されているわけではないが,サービスの必要性が認識され始めた萌芽の段階と言える。
B. 第II期:サービスの模索の開始(1980年代半ば~1990年代半ば)
第II期は,日本の経済状況が大きく変化した時期にまたがっている。Ⅱ章のBとCでは,1980年代以後における,高齢者医療費の急増に対する懸念が広がるなかの,高齢者福祉の見直しを求める政府の一連の重要な施策や,バブル経済崩壊後の高齢社会へ向けた抜本的な改革について言及した。また1980年代以降は,国際社会においても高齢者問題に目が向けられるようになった時期でもあり,高度経済成長期に定着した「社会的弱者」としての高齢者像は,国内外からの影響を受け,少しずつ変化を見せていた。
一方,1986年に国際図書館連盟(IFLA)東京大会が開会され,部会による利用対象者の拡大提案を契機として,日本の図書館界では,特に非識字者や施設生活者,在日外国人を対象とする多文化サービスに関心が寄せられた65)。高齢者への直接的な言及はなされていないが,サービスの対象範囲を広げることが公共図書館の課題となっていた。
こうした中,高齢者に関する文献数が最初の小さなピークを迎えたのは,『みんなの図書館』に敬老の日の企画として「高齢者と図書館」の特集が組まれた1986年である66)。この特集には8件の記事が掲載されたが,ほとんどが事例報告である。内訳は,図書館職員による国内館の報告が4件であり,具体的な内容として,身体が弱っている高齢者を意識しながら,高齢者施設に対する朗読会や紙芝居67, 68),老人読書室の設置69)など,自館での試みが紹介されている。こうした記事での紹介によれば,第I期では提案程度に止まっていた高齢者向けサービスが,極めて少数館ではあったものの,1980年代半ば頃から実施される傾向がみられるようになってきていることが示された。その他,英国70)と米国71)の高齢者向け館外サービスに関する事例報告がそれぞれ1件収録され,いずれも,図書館職員が研修生として海外館を訪問する際の見聞に基づいて記されたものである。研修の主眼が高齢者サービスになかったことから,必ずしも網羅的な検討になっているとは言えないが,海外の動向に注目が向けられ始めたことがわかる。
このように,国内外の事例紹介の特集が組まれたことで,公共図書館における高齢者の存在感が益々大きくなっていったと考えられる。しかし一方で,この特集の編集後記に“実際にどこでどんなことが行われているかつかめず,一時は特集とりやめとも思いました”66)[p. 41]という記述に示されるように,「高齢者サービス」はまだ具体像が見えず,依然として曖昧模糊としているとの印象がもたれていたことが見受けられる。
その後,「図書館と高齢者」に関する実証的調査が初めて実施された。1988年,大橋一二72)は尼崎市における高齢者の読書実態調査を踏まえながら,公共図書館を対象に高齢者対策に関する調査を行っている。その結果によれば,64館中60館が高齢者対策の必要性を認める一方で,約30館で大型活字本の購入と拡大鏡・拡大書見器の設置が実施されたほか,“その他の対策は数的に見て微々たるもの”72)[p. 234]であった。大橋によれば,“殆どの図書館が高齢者対策の必要なことは十分解っていても,その具体的な対策を持たないというのが現実”72)[p. 234]であったという。
1990年代に入り,「高齢者のための国連原則」の採択や,米国を中心とする「サクセスフル・エイジング」に関する議論の活発化などがあった。その影響を受けた形で,「図書館と高齢者」の文献は新たな特徴を見せている。海外の先進事例に関するものが顕著に増え,その議論も1980年代の単純な見学による事例報告のレベルから,より緻密な分析に基づく実証的な研究へと移行する傾向が見られる。高島涼子によるものがその代表例として挙げられる。高島は,1990年に高齢者の持つ問題及び高齢者に対する図書館のあり方について,米国の状況を詳細に検討する論文73)を発表して以来,一貫して米国の動向に注目し,4年間で4本の論文を出している。内容としては,米国の公共図書館における高齢者サービスの変遷を分析した上で,先進事例として高齢者向けの情報提供サービスである「I&Rサービス」及び各種の高齢者プログラムについて紹介し,その導入を提案するもの74)や,老年医学における「老化現象」などの知見を踏まえ,高齢者を障害者の枠組みで扱うことの妥当性を問い,図書館のサービスは高齢者の「記憶の老化・身体の老化・精神の老化」という3つの側面を統合して考慮した形で提供すべきであると主張しているもの75)などが挙げられる。
総じて言えば,II期では,高齢者サービスを障害者サービスに付随する形で実践し始めている。一方,ごく少数ではあるが,海外の動向に対する本格的な研究73, 74)や,自国における調査72)も現れ,今後のサービスに向けた模索が始まったと言える。
C. 第III期:独立した利用者カテゴリーへの移行(1990年代半ば~2000年代半ば)
1990年代後半,文献数は2番目のピークを迎え,第III期に入っている。Ⅱ章のCで述べたように,日本は高齢化率が14%を超え,高齢社会に突入した1990年代半ば頃,高齢社会における総合的な施策を示す「高齢社会対策基本法」が施行され,同法の規定に基づき「高齢社会対策大綱」が作られた。さらに20世紀の末になると,国内における「ゴールドプラン21」の制定や,国際高齢者年における世界各国で幅広い分野における研究集会やシンポジウム等の啓発事業が行われたことにより,「社会的弱者」として扱われた高齢者から,社会の担い手へと,大幅なイメージ転換が加速された。
こうした中,図書館界における高齢者問題への関心も一層高まった。2001年,「公立図書館の設置及び運営上の望ましい基準」76)が公表され,二の(四)「利用者に応じた図書館サービス」の部分では,「成人」「児童・青少年」「障害者」「地域に在留する外国人等」と並んで,「高齢者」へのサービスが単独の形で提起されている。高齢者に対するサービスの充実に資するため,“高齢者に配慮した構造の施設の整備”,“大活字本,拡大読書器などの資料や機器・機材の整備・充実”,“関係機関・団体と連携を図りながら,図書館利用の際の介助,対面朗読,宅配サービス等の提供”76)の3点の充実に努めるものとしている。内容に関しては,障害者サービスとの相違は示されていない。しかしながら,高齢者サービスを障害者サービスから独立したカテゴリーへと変化させた点においては,政策レベルでの大きな一歩があったと言える。
この時期に出されている高齢者に関する特集として,1999年『図書館雑誌』の「いま求められている『高齢者サービス』とは」77)が挙げられる。本特集に収録されている9件の記事は,後ほど言及する海外に関する1件を除き,全てが国内の事例報告である。そのうち,6つの公共図書館における高齢者サービスの実践が報告され,そのどれもが来館できない高齢者,特に施設入所者をターゲットにした,朗読会や紙芝居,団体・個人貸出の実施に関する内容である78–80)。つまり,国内では高齢者サービスを自ら実践しているところが多少増加したが,実際にどのようなものが行われていたかに関しては,II期の曖昧模糊としている傾向が続いており,障害を持つ高齢者へのアウトリーチ・サービスを主な高齢者対応として捉えていることがわかる。
一方,III期では,II期と同じように,高齢者に関する特集が1つのみであるが,文献数がII期の約2倍に上ることから,特集以外でも,高齢者に関するテーマが取り上げられるようになったと言うことができる。それら特集以外のものから,国内における実証的調査が増えること,及び海外への注目の広がりと深まりが見られること,という2つの特徴が見出される。
第1の特徴の実証的調査の増加については,具体的には,「図書館を対象とする」3件と「高齢者を対象とする」1件が含まれている。「図書館を対象とする」ものの例として,風間智子81)によるものが代表的である。風間は,高齢者サービスに対する取り組みの姿勢が,公共図書館の設置母体及びサービス対象住民の高齢化率の高低によって異なっているかどうかを調査するために,全国283館に対して,資料・設備・サービス・運営などの面での高齢者の利用に関する大規模な調査を行っている。他には,建築工学分野の研究者によるものがあるが,愛知県内78館に対して,建築設備面に特化した高齢者の利用調査82)などが挙げられる。調査の結果,建築設備面の改善と,運営上の配慮,配本や移動図書館の導入等が,高齢者の利用の拡大につながるという結論に至っている。また,「高齢者を対象とする」実証的調査の例としては,林貴光83)による所沢市の公共図書館における高齢者の利用状況を示したものが挙げられる。林は,市内3館の来館高齢者141名に対し,図書館の利用頻度や利用目的,実際に利用する空間,それらの空間に関する感想などについて調査を行っている。その結果,高齢者の回答について,他の年齢層とその利用形態に大きな差は見られない一方で,高齢者のバリアフリーに対する認識はそれぞれであり,画一的な対応では不十分な状況であるということが明らかとなっている。
この時期において国内の実証的調査が増えるようになったことは,主として障害者サービスに付随する形で始められた高齢者サービスについて,徐々に一つの独立したカテゴリーとして重視され始めたことを示していると言える。しかし,いずれの調査においてもアンケート形式が採用され,詳細を把握するのは難しい一方で,質問項目の設置にもばらつきがあり,「高齢者」あるいは「高齢者サービス」に対する統一的な認識はまだなされていないことがわかる。
第2の特徴の海外への注目の広がりと深まりについては,高島涼子はII期に続き,米国に関する実証的な研究を行い,海外の先進的な実践を紹介する一方,それらの実践事例の背後にある経緯を描き出すことを試みている84)。高島は,1961年のホワイトハウス会議後に,高齢者のための法律や政府部局の制定などが行われたことを社会変化と捉え,こうした変化に伴い,高齢者観と高齢者サービスがどのように変化を遂げるかについて検討している84)。高島の他に,白根一夫は英国に主眼を置き,高齢者の「精神の老化」の予防の重要性について言及し,英国の図書館における高齢者向けの回想法を主に取り上げている85, 86)。
総じて言えば,III期の公共図書館の現場では従来とは大差なく,高齢者の身体的不自由に対応するサービスをメインとしているが,同時に高齢者の精神的健康にも注目が集まり始めている。また,国内の実態調査が増える一方,海外への注目が深まったことから,高齢者が徐々に一つの独立したカテゴリーとして重視され始めたことが分かる。この時期は,「高齢者サービス」独自の下地が整いつつ,独立した方向に移行する時期と言える。
D. 第IV期:高齢者への認識の深化及び対策の多様化(2000年代半ば~2010年代半ば)
対象文献の4割近くを占めるIV期は,日本社会における高齢者問題への注目度が急速に高まった時期と重なる。Ⅱ章で述べたように,2007年からの超高齢社会の本格的な到来に加え,団塊の世代が2007年から相次いで定年退職を迎えることに伴う,退職金負担,労働力不足,消費への影響など,社会に及ぼす影響は非常に大きいものがあった。政府がさまざまな対応策の検討に乗り出すと同時に,高齢者問題が図書館の熱い関心を集めるトピックのひとつになってきていた。
2006年と2007年に,4つの主要な図書館系雑誌『現代の図書館』87)『図書館の学校』88)『図書館雑誌』89)『図書館界』90)では特集が相次いで組まれており,高齢者に関わる話題が大きな注目を浴びていた。上述4つの特集においては,それまでの特集は事例報告で主に構成されていたという状況から一変して,事例報告のほか,実証的調査・研究と論考・解説も存在感を増している。具体的に見ると,17件のうち,事例報告が6件,実証的調査・研究が2件,論考・解説が9件である。それらの文献からIV期における2つの主な変化が見出される。
1番目の変化は,「高齢者」への認識が深化していることである。2章のCで述べたように,老年学では日本型「サクセスフル・エイジング」に関する議論が1990年代から2000年代初頭にかけて活発化するようになったことがわかる。それより若干遅れて,2006, 2007年になると,図書館界では「図書館の高齢者をどう認識すべきか」の問題をめぐって,高齢者観の変化を訴えた論考・解説が数多く見られるようになり,そのうちの一部は老年学の知見をも取り上げてきた。教育老年学と生涯学習論の研究者である堀薫夫は,「2007年問題」の出現を機に,前述の『現代の図書館』と『図書館界』の特集に2本の論文91, 92)を発表し,高齢者を「福祉・保護」イメージと「生活者・活動者」イメージの二重性の中で捉える視点を提起している。近江哲史93)は,高齢者の立場から図書館利用に関する提言を行い,自らの経験から高齢者を「ヤング・シニア」と「オールド・シニア」に分けて議論している。この分け方は,75歳を境にそれ前後に分けるという区別を一般的であるとするものの,その人その人の心身の状況によって年齢とは異なる分類に含まれることも認めている。溝上智恵子ら8)は,堀と近江の議論を踏まえ,今後の高齢者を対象とした図書館サービスは一元的に考えるのではなく,少なくとも“アクティブ・シニアと非アクティブ・シニア”8)[p. 36]のように二元的に考える必要があると主張している。さらにその後,呑海沙織94)は社会老年学においてLaslettによって提唱されたライフコースの段階分け理論であるサード・エイジ論を取り上げながら,高齢者を「サード・エイジ」と「フォース・エイジ」という枠組みで捉え直している。高島涼子は新たな論考95, 96)を執筆し,「高齢者サービスとは何か」「高齢者をどう捉えるべきか」について議論し,高齢者の異なるニーズに対応する必要性を指摘している。また,海外の高齢者観に目を向ける入江有希97)の実証的調査が見られる。入江は英米のサービスガイドラインから見る高齢者観について分析し,日本独自の認識が必要であることを提起している。いずれにしても,この時期では,サービスの対象を「高齢者」として一括りに捉えるのではなく,その二重性や二元性を認識した上でサービスを提供すべきという点がますます強調されている。公共図書館の高齢者に対する認識は,福祉の範疇にとどまっているIII期より,国の高齢者に関する施策や国際社会の高齢者動向との間でのギャップが確実に縮まりつつあるといえる。
一方,高齢者の身体特性に対する客観的な理解も深まる傾向にある。2006年に「高齢者,障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律」の施行などから影響を受け,高齢者の特性を客観的に認識した上でのバリアフリー改善策が話題となり,図書館施設のハード面での改造に関するものが目に止まるようになる。木野建築設計事務所の木野修造98)によるものがその代表例として挙げられる。木野は,高齢者の運動能力及び視覚能力,聴覚能力を詳述した上で,図書館の空間デザインを分析している。その後,2015年に『LISN』誌は2号連続で特集99, 100)を組み,高齢者の読書と眼球運動101)や高齢者の心理特徴とコミュニケーション102)など,高齢者にサービスを提供するための予備知識に関する記事を掲載している。
2番目の変化は,これまでとは異なる高齢者サービスの試みが着実に見られるようになったことである。この変化には2つの特徴がある。第1に,海外から得た知見を日本の図書館に生かしていることである。具体例として,白根103)による斐川町立図書館「思い出語りの会」の紹介記事が挙げられる。白根はIII期で最も早く英国の回想法を図書館サービスとして日本に紹介した後85, 86),引き続き回想法を取り入れた日本の公共図書館の取り組みに注目している。第2に,団塊の世代を代表とする「元気な高齢者」へのサービスが実践されていることである。先述の文部科学省による『幸齢社会』報告書などの影響を受け,公共図書館は地域における学習拠点・活動拠点としての役割が大きく期待されている。2014年『図書館雑誌』による「シニア世代と図書館」104)の特集では,鳥取県立図書館の「いきいきライフ応援サービス」105),吹田市立千里図書館の「自分史講座」106),八王子市中央図書館の「八王子千人塾」107)の3つの事例が報告され,いずれも高齢者の生きがいづくりや社会参加を支援する好例である。これは公共図書館が高齢者という利用者グループに対して,身体が弱まっている人だけではなく,元気な人をも考慮に入れ,より広範囲の対象を「高齢者」として捉えるようになったことの現れと言えよう。
このように第IV期は,高齢者への認識が深まりつつあり,図書館現場においても高齢者サービスを障害者サービスから脱却させる動きが本格化したと言える。従来の体の不自由な高齢者に加え,元気な団塊世代も視野に入れ,高齢者の異なるニーズに合わせた対応に着手しはじめた時期として特徴づけられる。
E. 第V期:認知症への注目及び連携に向けた模索(2010年代半ば以後)
第V期の僅か5年間に,文献数が50件に達している。その大きな理由として,「認知症」というキーワードが高齢者サービスに加えられ関心を集めたことが考えられる。Ⅱ章「D. 2000年代半ば以後」で触れたように,高齢化の進展に伴って急増する認知症への対応として,日本政府は2010年代半ばから,「認知症施策推進5か年計画」「認知症施策推進総合戦略」などの一連の施策を打ち出し,認知症対策を加速させた。
こうした背景のもと,第V期には「図書館と認知症」について考察する文献が顕著な増加を示し,50件のうち30件を占めている。その代表として,呑海沙織ら108, 109)による「超高齢社会と図書館研究会」のものが挙げられる。当研究会は,筑波大学図書館情報メディア系の研究者を中心に,関連分野の研究者や図書館員,医療福祉関係者を交え,海外の認知症支援の動向を踏まえながら,日本で「認知症にやさしい図書館」の実現に主眼を置いて研究している。同会はこのテーマをめぐって一連の研究を発表したほか,2017年に,IFLAの「Guidelines for Library Services to Persons with Dementia」110, 111)をもとに,日本の文脈に合わせた「認知症にやさしい図書館ガイドライン(第1版)」112)を作成した。これは図書館における認知症対策の実践を促す有効な指針となっている。上述の認知症をめぐる動向のほか,2017年に呑海が研究主幹をつとめた国立国会図書館の図書館調査研究レポート7)は,論考と調査を通して,日本における図書館の高齢者サービスを総括的にまとめたものである。
このように,認知症に関する理論的研究が進められる中,近年では国内の公共図書館での「認知症にやさしい図書館づくり」の実践例が報告され,図書館の現場で一定の成果が得られたことが示されている。川崎市立宮前図書館は「認知症の人にやさしい図書館プロジェクト」を地域の福祉担当者との連携により実施している7, 113)。その内容として,「認知症の人にやさしい小さな本棚」の設置や認知症サポーターの養成,高齢者福祉施設での読み聞かせ講座などが挙げられる。その他,日向市大王谷コミュニティセンター図書室と,日向市社会福祉協議会が連携して実施する認知症支援事業7)なども紹介されている。また,上述いずれの事例も,当該地域の地域包括ケアシステム推進の一環として位置付けられ,認知症高齢者の地域での生活を支えるためには,公共図書館がどのような役割を果たすべきか,どのように地域にふさわしいものにするか,各自の自主性や主体性に基づき,地域の特性に応じて試みている様子がうかがわれる。
総じて言えば,「認知症」がキーワードとなる第V期は,公共図書館の高齢者あるいは高齢者サービスに対する理解がさらに進み,包括的になっていると考えられる。公共図書館はさらなる連携・協働を模索しながら,高齢者サービスを推進している。
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39) World Health Organization. The World health report: 2000: health systems: improving performance. 2000. 215 p. (online), Available from the World Health Organization’s Institutional Repository for Information Sharing.
40) 小田利勝.サクセスフル・エイジングに関する概念的考察と研究課題.徳島大学社会科学研究.1993, no. 6, p. 127–139.
41) 柴田博.サクセスフル・エイジングの条件.日本老年医学会雑誌.2002, vol. 39, no. 2, p. 152–154.
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50) 厚生労働省編.今後の認知症施策の方向性について.2012. https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r9852000002fv2e-att/2r9852000002fv5j.pdf,(入手2023-02-01).
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52) World Health Organization. Meeting report: First WHO Ministerial Conference on Global Action Against Dementia. Switzerland, 2015-03-16/17. World Health Organization. 2015, 76 p.
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56) 特集,身障者に対する読書サービスについて:主として視覚障害者および寝たきり老人対策〈シンポジウム〉.図書館学.1975, vol. 26, p. 3–8.
57) 木村秀明.特集,身障者に対する読書サービスについて:主として視覚障害者および寝たきり老人対策〈シンポジウム〉:目録提供に問題点:公共図書館の立場から.図書館学.1975, vol. 26, p. 3–5.
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59) 斉藤元宣.特集,身障者に対する読書サービスについて:主として視覚障害者および寝たきり老人対策〈シンポジウム〉:生きる糧として読書を活用:特別養護老人ホーム「明和苑」の場合.図書館学.1975, vol. 26, p. 6–7.
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61) 金智鉉.どのように視覚障害者は読書環境を獲得してきたのか:点字図書館,公共図書館,読書権運動の関係を中心として.京都大学大学院教育学研究科紀要.2006, no. 52, p. 108–121.
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65) 図書館サポートフォーラム主催:IFLA東京大会20周年記念懇話会.http://www.nichigai.co.jp/lib_support/event/ifla2.html,(入手2023-02-01).
66) 特集,高齢者と図書館.みんなの図書館.1986, vol. 112, p. 2–41.
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81) 風間智子.日本の公共図書館における高齢者サービスの現状と展望:設置母体と高齢化率による比較.Library and Information Science. 1997, vol. 37, p. 55–70.
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87) 特集,高齢者と図書館.現代の図書館.2006, vol. 44, no. 3, p. 119–163.
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90) 特集,2007年問題と図書館の今後.図書館界.2007, vol. 59, no. 2, p. 66–93.
91) 堀薫夫.特集,高齢者と図書館:高齢者の図書館利用と読書活動をめぐる問題.現代の図書館.2006, vol. 44, no. 3, p. 133–139.
92) 堀薫夫.特集,2007年問題と図書館の今後:高齢者への図書館サービス論から高齢者の図書館利用論・読書論へ.図書館界.2007, vol. 59, no. 2, p. 67–71.
93) 近江哲史.特集,シニアと図書館:シニアはきょうも図書館に出かける.図書館の学校.2005, no. 68, p. 8–12.
94) 呑海沙織.特集,シニア世代と図書館:高齢社会における図書館サービス:サード・エイジと図書館.図書館雑誌.2014, vol. 108, no. 5, p. 313–315.
95) 高島涼子.特集,高齢者と図書館:高齢者と図書館.現代の図書館.2006, vol. 44, no. 3, p. 119–126.
96) 高島涼子.特集,2007年問題と図書館の今後:高齢者サービスの課題.図書館界.2007, vol. 59, no. 2, p. 81–86.
97) 入江有希.特集,高齢者と図書館:英米の高齢者サービスガイドラインに見る高齢者観.現代の図書館.2006, vol. 44, no. 3, p. 127–132.
98) 木野修造.特集,高齢者と図書館:利用者高齢化への空間的配慮観.現代の図書館.2006, vol. 44, no. 3, p. 140–149.
99) 特集,図書館でも知っておきたい高齢者の学習を支援するための予備知識.LISN. 2015, no. 164, p. 119–163.
100) 特集,図書館の高齢者サービス.LISN. 2015, no. 165, p. 119–163.
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105) 藤井美華子.特集,シニア世代と図書館:老後をいきいきと健康に:鳥取県立図書館のいきいきライフ応援サービス.図書館雑誌.2014, vol. 108, no. 5, p. 318–319.
106) 金森直美,梅田米大.特集,シニア世代と図書館:図書館で「自分史講座」シニア世代の生きがいづくりを応援します:吹田市立千里図書館からの報告.図書館雑誌.2014, vol. 108, no. 5, p. 316–317.
107) 松廣睦.特集,シニア世代と図書館:シニア世代が自ら調べ学習を:読書のまち八王子の実現に向けて.図書館雑誌.2014, vol. 108, no. 5, p. 320–321.
108) 呑海沙織.多様性を許容する図書館:認知症にやさしい図書館について考える.現代思想.2018, vol. 46, no. 18, p. 128–137.
109) 呑海沙織.特集,超高齢社会を生きる学び:認知症にやさしい図書館をめざして:「超高齢社会と図書館研究会」の取り組み.月刊社会教育.2019, vol. 63, no. 2, p. 35–41.
110) IFLA. Guidelines for Library Services to Persons with Dementia. 2007. IFLA Professional Reports: 104. https://repository.ifla.org/handle/123456789/586, (accessed 2023-02-01).
111) IFLAによるガイドラインの発行は,認知症高齢者に必要な図書館による対応が世界的に検討されるに至った契機であると言われている。ただし,このガイドラインが発行された2007年は,筆者の区分「第IV期」に該当するが,第IV期の文献群のうち,ガイドラインについて言及があったのは2009年の翻訳記事「図書館における新たな視点:認知症の人のためのサービスガイドライン」のみであった.
112) 超高齢社会と図書館研究会編.認知症にやさしい図書館ガイドライン(第1版).2017. http://www.slis.tsukuba.ac.jp/~donkai.saori.fw/a-lib/guide01.pdf,(入手2023-02-01).
113) 舟田彰,竹原敦.特集,人生100年時代の作業療法持続可能な高齢者の社会参加:地域包括ケアシステム推進の中で図書館と作業療法が協業できること:川崎市立宮前図書館の「認知症の人にやさしい小さな本棚」の実践から考える.東京作業療法.2020, vol. 8, p. 20–26.
114) 舟田彰.特集,2016年度図書館学セミナー:地域包括ケアシステムと図書館:“認知症の人にやさしいサービス”の現状とこれから.図書館界.2017, vol. 69, no. 1, p. 11–18.